2020年10月21日水曜日

アメリカ人からみた「日本の住みやすさ」

こんにちは、サイオステクノロジーGluegentサービスラインのジャレド・ウォレスです。今週は前回の記事からリストになかったもうひとつのよく聞かれる質問「日本はどうですか?住みやすいですか?」に対しての思いを説明していきたいと思います。もちろん、本記事はあくまで私の個人的な経験の元に話していますので、ご了承ください。

来日から

まず、外国人として日本に引っ越すための事前準備から話していきましょう。ビザ関連手続きはそれぞれ個人の状況によりますが、流れは大体決まっているのでそこまで個人の手間はかかりません。そのあとの物件探しはそれに比べて大変です。個人で行う場合、すべてリモートベースで契約までの手続きを対応してくれる仲介会社は珍しい存在であり、物件自体も外国人NGが多いので選択肢が結構絞られます。口座振り込みもできないので、クレジットカードで決済できる物件でなければなりません。場合によって、会社や知人の方が手続きを代わりに行ってくれることが多いのですが、そうして頂けない場合、あまりにも難しいため一時的な住まい(シェアハウス等)にする手段も珍しくありません。

ここまでくるだけで十分疲れるんですが、そのあともまだまだやらなければならないことが続きます。引っ越し自体が終わってからすぐにやることは以下のようなものが一般的です。
  • 役所で住所を登録する(在留カードに記録、住民票取得)
  • 携帯電話を契約する
  • 銀行口座開設を行う
実はこの上に書いてある通り、決まった順番で行わないとうまく手続きできません。私が初めて日本に来た時にひとまず携帯電話の契約をしようとしたら、現住所を確認できるものがなかったため1時間半ぐらいが無駄になって契約できませんでした。まず、役所で手続きを行ってから住民票を取得して、携帯電話の契約ができるようになります。口座開設も、現住所の確認できるものと電話番号がないと行えないため、最後に行うべきです。そして、来日する前に一回も考えたことがなかった、これのすべての前にやらなければいけないことがもうひとつあります。

ハンコについて

来日する前に教えてくれる方はいませんでしたが、ハンコを作らなければ日本に住むのが困難であり、不可能に近いとも言えるでしょう。ほとんどの銀行で口座開設ができませんし、できる銀行が存在すると言っても、実際作るとなった際従業員側の確認作業(上司に相談、資料調べ等)によりかなり時間がかかり、労力の割に合いません。労働者も会社との契約に印鑑を押さなければ済まないのも普通でしょう。私個人も留学をした時「外国人だからサインで済ませるだろう」と思って様々な手続きにトライしましたが、結局「どうしても必要です」と言われることがほとんどでした。「申し訳ありません、これは本当に日本の良くない文化ですが…」と、説明されることが多かったです。

そこまでハンコに重みと信頼感を置くのはやはり少し格好悪いと思ってしまいますが、量販店でも作れますし、すごく困ったわけではありません。来日する外国人に対して、日本人の知人から色々教えてもらったり、役所からの情報をもらえればおそらく「外国人でも必要であることは知られていない」問題は解決されます。それより何倍もカルチャーショックを受けたのが多くの日本国民のハンコに対しての気持ちです。「良くない文化」とか「どうしようもない」と言う言葉が、「我が国はどうしても変わらない、自分で変えられない」と聞こえてきます。島国根性と言いますか、日常的にこのような文化と考え方に縛られているのが、少し可哀想だと思いました。

ローマ字の名前表記は全く考えられていない

意外と困ることですが、日本では様々なシステムがローマ字の名前表記をそもそも考えずに、作られたものが多いと思われます。外国人の場合「名前はパスポートに書いてある通りに書かなければならない」が基本ですが、なぜそれが大変なのか例で見てみます。まず、仮の名前 John Michael Smith で見てみましょう。

パスポートの名前表記(姓→名→ミドルネーム)
  • Smith John Michael
日本国内手続き(ローマ字で書かなければならない)
  • 姓:Smith(かな:スミス)
  • 名:John Michael(かな:ジョン マイケル)
ここまでだとパスポート表記で困ることはただ「ミドルネームで呼ばれがち」だけです。オンラインバンキングなどを利用する際に名とミドルネームがくっつくので少し違和感がありますが、特別な不便はありません。しかし、クレジットやデビットカードの名前表記はかなの元で出力されるので、以下のような形になります。

カード名義(かな化された名前が再びローマ字化され、名とミドルネームがくっつかれた)
  • JIYONMAIKERU SUMISU
「なんだこれ?」となりますよね。見ての通り、カード名義と本名は一致しません。多くの国内サービスはアカウント名義と支払のカード名義が一致していなければならないと言うルールがあるため、そういったサービスが使えず、かなり不便です。

手続きが終われば楽

一方、日々を過ごすだけの意味では日本(少なくとも関東)は海外と比べて楽で過ごしやすいと思います。留学の頃、料理が苦手だった私には外食が安かったのとコンビニのご飯が美味しいことが特に印象的でした。電車と新幹線が充実しているため旅行もしやすいです。国が全体的に割と小さいため、通販の配達速度もかなり早くてギリギリの注文でも間に合います。ただし、改めて考えてみると「過ごしやすい」と言うより「お金を出す分だけ過ごしやすい」と言えるかもしれません。

日本の文化と価値観になると話がまた少し違います。完全に個人によるとも言えますが、他人に迷惑をかけない・自分の価値観を他人に押しつけない文化もかなり快適な環境の原因のひとつと感じます。一方、ハンコや紙文化、外国人NG物件など、なかなか時代に追いついていない考え方が社会的に認められている、まだ望ましいと思われている事実に絶望を感じることもあります。

以上、個人的な「日本の住みやすさ」についての考えでした。いかがでしょうか。少ししょっぱい記事になってしまいましたが、少しでも気持ちを理解して頂けたら幸いです。
Jared Wallace