2020年3月18日水曜日

パンデミックと自然災害に備えるBCP

新型コロナウイルスはいよいよパンデミック状態に突入し、世界中で対策が取られつつも、先行きの見えない状況が続いていますが、企業としては可能な範囲で事業を継続し、経済を回していく必要もあります。今回は、自然災害と疾病の感染を対比して、BCP(事業継続計画)について考えてみます。


東日本大震災とBCP

3月11日で、東日本大震災が発生して、9年が過ぎました。被災地にはまだまだ影響が残る地域がありますし、原発の後処理はようやく始まるかという段階です。震災発生によって、被災地での企業活動は、一瞬にして止まり、日本全国の企業が影響を受けました。全国的にようやく落ち着いてきた時期から、BCPの必要性が広く知られ、実際に対策を検討する企業が多くありました。ちょうど一般に広まり始めていたクラウドサービスを採用するきっかけの一つにもなったようです。それまで重要情報の預け先として自社が調達したデータセンタしか念頭になかった企業が、クラウドもその選択肢として捉え、むしろ積極的に推進するようになりました。平成24年の情報通信白書によると、企業規模によって差があるものの、「4割の企業が震災を踏まえて積極的に導入および導入検討を進めている」と述べられています。当時の利用状況(全社利用・一部部門利用)が3割であった事を考えると、震災によって、クラウド利用が促進されたのは間違いないようです。(その後も、企業でのクラウドサービス利用は進み、2018年には、58.7%(令和元年の情報通信白書より)と6割に迫る勢いです)
震災後のBCPへの取り組みの多くは、「災害」を念頭においたものが多いようです。水に晒されるサーバラックの映像がニュースで流されたり、通信が途絶するケースもありました。これらの障害に対応して、データの保全や、通信手段の冗長化にクラウドサービスが利用されてきました。また、クラウドサービスは災害時のみでなく、平常時にも利用され、ランニングコストを低減し、企業活動の効率化に大きく貢献したものと思われます。

新型コロナウイルスの感染拡大とBCP

今、全世界で新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界経済にも大きな影響を及ぼしています。国内でも感染拡大への対策として、大規模イベントが中止され、学校も休校を要請されています。子供をもつビジネスパーソンは、自宅でのテレワークに移行しているケースも増えてきていると思われます。事務所で感染者が出た場合等、これまでテレワークをしていなかった人も、否応なくいきなり自宅で仕事をすることになり、戸惑いを覚えているケースもありそうです。また、働く場所だけでなく、働き方も大きく変える必要も出てくるやもしれません。もちろん、製造業や接客業、医療従事者等、テレワークができない業種、業態もたくさんありますが、自社の社員が感染しないように、感染を広げないようにするというだけでなく、取引先や顧客の働き方も大きく変わる中、それに柔軟に対応していく必要が出てきています。
WHOにより、パンデミックの状態にあると発表され、全世界で長期間に影響する問題になることが予測されます。業種や、業態によっては、東日本大震災を上回る影響を受けて、事業継続に大きなリスクとなることもありそうです。大きな自然災害を経験し、それを念頭においたBCPを策定していた企業も多いと思いますが、今回のような大規模な疫病感染に対応したBCPも現実のものとして必要であることが痛感されます。今回の問題は、まだまだ収束する気配は見えず、年単位の影響が出ることも想定しておく必要がありそうです。災害の場合は、ある瞬間から状況が一変し、それに対応する必要がありますが、疾病感染に伴う問題の場合は、徐々に対応するべき問題が増えていくことが想定されます。

自然災害に向けたBCPとパンデミックに向けたBCP

中小企業庁が公開している「中小企業BCP策定運用指針」は、中小企業がBCPを策定するための多くの情報が記載されています。同指針は平成18年から公開され、東日本大震災を受けて、平成24年に第二版が公開されています。当然のことながら、自然災害を対象とした対策が多く、突然日常が破壊された場合でも、企業が存続できるようにすることを目的としています。もちろん、新型コロナウイルスについては、現在進行中の問題として、経済産業省から多くの支援策が示されています。今、目の前にある問題については、こちらの情報を参考にして、経済活動を継続することが肝要です。
新型コロナウイルスについては、治療薬やワクチンもまだなく、わからないことが多いことから、まだ具体的なBCPをどう決めるのが良いのか指針がないようです。実際には、前述した経済産業省の支援策等で個別に問題に対応していくしかありません。ただ、感染症を対象としたBCPとしては、2009年に流行した新型インフルエンザを対象としたBCPのガイドライン等の情報がありますので、現時点ではこちらを参考にするのが良さそうです。いくつか情報がありますが、前述した中小企業庁が公開している、「中小企業BCP策定運用指針」の付加情報として出されている「新型インフルエンザ対策のための中小企業BCP策定指針」に簡潔にまとめられています。基本としては、自然災害をメインに考えた指針をベースとしていますが、疾病の感染拡大に伴うリスクへの対策がわかりやすく「ポイント」として示され、今の状況でも価値ある内容であると考えられます。

特徴的な図表を引用しておきます。

(引用元: 中小企業 BCP 策定運用指針を用いた 新型インフルエンザ対策のための中小企業 BCP(事業継続計画)策定指針 15p.)

BCPを策定した場合としていない場合の事業の操業状態を表しています。この図の中で考えると新型コロナウイルスは、第二段階あるいは第三段階と考えられます。現時点では、国内での感染が爆発しているとは言えませんが、今後感染者数がもっと増えて、さらに業務を圧迫するかも知れません。BCPの立場に立つとそのリスクが実現すると考えて、備えておく必要があります。文字通り「備えあれば患いなし」といったところでしょうか。

(引用元: 中小企業 BCP 策定運用指針を用いた 新型インフルエンザ対策のための中小企業 BCP(事業継続計画)策定指針 19p.)

「地震災害」と「新型インフルエンザ」の対比ですが、「自然災害」と「新型コロナウイルス」と読みかえても、有効であると考えられます。BCPは万全と考えている企業でも、パンデミックを考えたBCPにはなっていないのではないでしょうか。そのリスクの性格が大きく異なることを認識し、適切な対策を取れる備えが必要です。今はまだ、この状態がいつまで続くのか、影響の範囲がどこまでおよぶのか、わかりません。慎重で広範囲な情報収集と最悪の事態は起こるものと考えておくことが必要でしょう。

安心・快適を提供する

グルージェントは、クラウドサービスを通して、安心・快適を提供することをコンセプトとしています。弊社が提供するサービスは、時間や場所に縛られない働き方を促進することができます。BCPの策定をすすめると、その備えの中で否応なく働き方の変化が求められます。いまだ先の展望が立たず、不安な状況が続きそうですが、リスクを想定し備えることは、決して無駄なことではありません。東日本大震災をきっかけとして利用が広まったクラウドサービスのように、平常時の働き方を刷新し、ビジネスをさらに一歩先にすすめることにつながります。弊社では、リモートでのお問い合わせにも広く対応しています。オンラインのやり取りでサービス稼働まですすめることも可能ですので、ぜひ、ご相談ください。
(ま)

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