2020年2月5日水曜日

アメリカ人からみた「キャッシュレス社会」

背景

アメリカ人の私にとっては、キャッシュレスで払えることが幼い頃からでも当たり前のことであり、日本に来る前に意識したことがありませんでした。日常的にお金を使うようになった頃、自分の銀行口座を開いてデビットカードを作成しましたが、その時からずっと、ネットでの買い物はもちろん、店頭での買い物や(PayPalによる)友人にお金を送ることもデビットカードを使って支払うことがすべてでした。通常お財布に現金が入っていることが珍しく、持っていても4000円程度で祖父などお年寄りの方からお小遣いとしてもらったもののみでした。このような決済文化は決して珍しくもなく、30歳以下の方ならば一般的と言えるでしょう。
その文化圏から初めて海外に旅行し「素晴らしい技術の国」日本に足を踏み入れてみると多くのお店で現金のみの支払いという現実を見せられ、どのくらい驚いたか皆様想像つきますでしょうか?観光活動の半分程もカードが使えなかったので、何回もATMを利用し海外の口座からお金を下ろさなければならず、外貨両替手数料とATMの利用手数料が思いのほか、かかってしまいました。旅行者が感じるカルチャーショックと言えばそれまでなのですが、正直にいうと、日本に住んでいる今もまだそう感じることが少なくありません。

意外と長所もある

一方でキャッシュレスじゃない状態であることが国の評価に対してオールマイナスということもありません。盗まれたりする恐れがあるため、多くの海外の国では数万円程度でも現金を持つことが危険だと思われています。そういう意味では現金払いが主流の日本は安全であるという証なのかもしれません。そして、個人としてお金を使うときにカードより現金で支払った方が無駄遣いをしないと学術的にも証明されているため、預貯金しやすくなる効果があるとも言えるでしょう。
昔ながらのお店で会話しながら買い物するようなお店では情緒的にも現金決済が似合うところもあるかもしれません。

また、キャッシュレス社会はプライバシーとセキュリティの悩みが多いでしょう。
ネットを使った決済の場合、セキュリティの穴を突かれることが心配ですね。大手コンビニのキャッシュレスアプリが不正利用され、サービス廃止に追い込まれたことは記憶に新しいです。
プライバシーという側面では、ネットショッピングをした際、買ったばかりの商品や関連アイテムの広告がGoogleを含めて様々なウェブサイトやアプリに表示される体験をしていると思います。キャッシュレス決済も個人の買い物歴情報が集められ、期待しない利用をされることもあるでしょう。当然ですが、現金で払う場合個人情報提出は不要なので、買い物の履歴を大切な個人情報と感じる人にとっては現金払いの方がキャッシュレスよりも有利になりそうです。

使えるところが限られていたりする

しかし、最初からキャッシュレス社会で生きていたアメリカ人の私にとっては、日本のキャッシュレス事情には軽い絶望すら感じてしまいます。出かける際に行くお店が決まっているならともかく、ぶらりと外出する際に現金を使わずに買い物ができる保証はあらず、仮にキャッシュレスで払えるとしてもたまたま入った店で自分のキャッシュレス決済方法が使えるとは限らないからです。私の近所のスーパーもクレジットカードが使えますが、Apple WalletやGoogle Payのようなアプリ決済やSuicaとPasmoの交通系電子マネーでは支払えない状況です。クレジットカードに関しても外国で発行されたものであれば手入力しないと使えなかったり不明エラーで拒否されたりすることもあり、かなり不便で過ごしにくい環境だな、と感じてしまうことがあります。

個人的になぜこうなっているのか?と思ってしまうのは「全ての人がどこでも使える」キャッシュレス決済がまだ存在しないことです。アメリカではメジャーなデビットカードが人気になれていないのもどうしてなのか理解できていません。日本人の友人に聞いたところ、クレジットカードとデビットカードの違いが分からない人もいて、大変驚きました。ともかく、セキュアでどこでも使える理想的なキャッシュレス決済の登場がなければキャッシュレス社会に対しての考え方を推し進めることは難しいのかもしれません。

ジャレド・ウォレス