2019年12月25日水曜日

ビジネスチャット導入しただけで、仕事がうまく回ると思ってませんか? (3)

前回までの記事で、長らくビジネスコミュニケーションの定番だった「メール」の次世代を担うツールとして登場してきた「ビジネスチャット」について、その構造的なメリットと、実際に現場に投入した場合の不具合について見てみました。今回は、そのような状況を踏まえた上で、どのように活用するのが良いのか考えてみます。


ビジネスチャットを有効に活用するための秘訣

前回の記事では、うまくいかないことに着目しました。では、ビジネスチャットは、意識が高く、特定の職種の人たちだけにしか、その効力を発揮しないのでしょうか。本稿では、様々な工夫を実践し、利用者の気持ちを変えることで、問題点を克服出来、ビジネスを一歩前に進めることに着目します。以下に、ビジネスチャットの導入を成功させる秘訣を上げてみたいと思います。

一つ目は、「クイックレスポンス」です。何をおいても、スピードが最も大事です。チャットは短文による頻繁なやりとりを前提としています。細かな情報を投げられたら、それに対して細かく、出来るだけ早く返答を返すことで、次の情報を引き出します。それが第一です。返答できる時間がない場合には、絵文字一つでも、賛成or反対の二文字だけでもOKです。それがないと、話が進まず、チャットの魅力半減です。何らかの反応がないと、読んでないのか、異論がないのかすら分かりません。「この人は読んでたら必ず何かしらアクションしてくれる」ということが分かると、レスがなければ「読めてないんだな」というのが分かります。「内容によって都合が良い時だけリアクションする」ような対応は、相手に対して余計な判断の幅を与えることになり、シンプルで高速なコミュニケーションを阻害します。また、スレッドが伸びていて、議論が追えてないとか、返答を書けない場合でも、それを伝えておくことで、一旦やり取りをおいておいて他の事ができます。チャットは高速な返答をある程度期待するので、返答がない時間が長引けば、発信者は待ち状態のままでストレスを感じます。他のこともできません。何にしても、まずは会話をしている状態をつくるために、「クイックレスポンス」が最重要です。

二つ目は、「積極的な意思表明」です。「名指しされていないから、見てるだけにしよう」とか、「特に反対もないから、コメントも書かない」という姿勢では、発信者が自分の意見にフィードバックを得られず、議論が進みません。反対も賛成もなければ、話が深まりません。チャットは、会話を模したオンラインサービスと言えます。対面であれば「頷く」「相槌をうつ」という動作が伝わりますが、チャットでは、そうはいきません。積極的に反応することで、相手の次の言葉を引き出すことが、議論を活発にさせます。

三つ目は、「コミュニケーションツールの公式化」です。組織として公式なコミュニケーションツールとして、定めることで、多くの人が参加します。「慣れないから使わない」とか「ログインが面倒」とか「普段使う環境から遠いんだよね」という言い訳を許してはいけません。少なくとも、可能な時にはオンラインでいることで、「クイックレスポンス」も可能になります。トップダウンで、組織全体にこれを使うということを明確に示す必要があります。

四つ目は、「ストレスなく使える環境の整備」です。「ログインが面倒」であるとか、「開くまでに手間がかかる」というのは、利用者のストレスになり、利用率を下げます。可能な限り、チャットを利用するまでの敷居を下げなければいけません。モバイル端末で使えることや、通常利用するサービスとのシングルサインオンの有効化により、利用者が使うまでのステップを出来るだけ少なく、意識することなく利用できる環境を整備する必要があります。

五つ目は、「価値が有る情報を集める」ということです。見ない人が多いのは、そこに価値がないからとも言えます。価値がある情報が集まり、そこに参加していなければ仕事が立ち行かない状態になれば、かならず人は集まります。集まることで、より有用な情報が集まり、活発な議論が進みます。

六つ目は、「育てる努力」です。メールは、個別のやり取りの延長ですが、チャットは、「チャットルーム」といった特定の話題を扱うスペースがあります。上の「価値が有る情報を集める」にも通じますが、チャットの議論の進み方や、読んでない人の巻き込み方など、ツールをよりよく利用するためには、メディアとして育てる努力が必要であることを認識し、実行しなければなりません。「チャット導入したけど、誰も使わない」とか「一部の人が雑談するだけのツールになってる」というのは、使われ方を観察して、持っていきたい方向に育てる努力をしていないためであるとも言えます。導入したら即全員が有効につかえて、効果も抜群というものではありません。ユーザがその有用性を認識し、お互いに育てる努力をすることで、より価値がある情報があつまり、高速なコミュニケーションが実現でき、結果としてビジネスの活性化につながります。

ビジネスチャットを賢く使いましょう

チャット自体は、コンシューマでも広く使われていましたし、特定のコミュニティでは、もっと古くから使われていました。IT業界にある程度の年数いた方であれば、IRCやICQなどを使っていた方もいるでしょうし、現在ではプライベートでSNSのチャットを使っている方も多いでしょう。しかし、チャットが一般のビジネスの場でも注目され、実際に使われるようになったのは、ここ数年のことです。スマートフォンが普及し、ほとんどのビジネスパーソンがオンラインの状態で仕事をしています。コミュニケーションの必要がある時に、短い文章でさっと聞くことが出来、その答えがすぐに来る。激しい競争の中で、このような環境が求められ、サービスとして提供されるのも必然と言えるでしょう。ただ、上で見てきた通り、ただ入れただけでは、有効に活用できませんし、かえって利用者の負担を強いることになります。導入の仕方や、育て方について意識的に取り組むことが、ビジネスを次のステージに進めることにつながります。

来年も有益な情報を発信します

今年の記事はこれで最後になります。今年も一年ありがとうございました。来年は、より一層有益な情報をお届けできるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします。

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