【実録】 テレワークやってます(4) テレワークだとこうなります〜時間の使い方〜

前回は、「隣にいないと伝わらない?」と題して、オンラインとオフラインのコミュニケーションの違いについて考察し、オフライン特有のコミュニケーション(対面の会議や、雑談、近い席から聞こえてくる程度の話等)の優位性と、そのような本来リモートでは取りにくい種類のコミュニケーションをオンラインでどのように実現するかについて、考えてみました。
リモートだからと諦めずに、問題点とそれを解決するための工夫をすることで、必要十分なコミュニケーションが取れるはずという結びとしました。離れた場所で仕事をする人にも、そうでない人にも努力を強いるところもありますが、テレワークをするためには避けられないポイントだと感じます。

今回は、テレワークがもたらす大きなメリットになる「時間の使い方」について見てみようと思います。筆者は、数年テレワークで仕事をしていますが、以前は、多くの方と同様に毎日通勤してオフィスで仕事をしていました。それぞれで一日の時間の使い方がどう違うのか、まとめてみます。

時間配分を数字で比較する

初回の記事に、リモートワークでのある一日について書きました。詳細を省いて、まとめると以下のようになります。

06:30 起床。仕事はじめまで家事等。
08:30 仕事はじめ。昼に1時間休憩、家事等。
17:30 仕事終わり。就寝まで家事等。
23:00 就寝

家事等は、食事・休憩を含みます。それぞれの配分は、以下のようになります。

  • 仕事:8時間
  • 家事等: 8.5時間
  • 睡眠: 7.5時間

一方でオフィスに通勤していた時には、以下のような一日でした。

06:00 起床。移動開始まで家事等。
07:30 移動開始。
09:00 会社着。昼に1時間休憩、食事。
18:30 仕事終わり。移動開始。食事
20:00 自宅着。就寝まで家事等。
23:00 就寝

時間配分は、以下の通りです。

  • 仕事:8.5時間
  • 移動: 3時間
  • 家事等: 5.5時間
  • 睡眠: 7時間

もちろん、毎日このままの時間配分で過ごすことはありませんが、仕事が忙しい時期以外はこのようなスケジュールになることが多く、これを平均として比較してみます。大きく異なるのはやはり移動に使っていた時間を、そのまま家事等に充てることができている点です。
これはいわゆるワーク・ライフ・バランスにおける分かり易いテレワークの利点をしめしているように見えますが、テレワークとオフィスワークの本質的な差異を見落としがちな比較になります。

単純な時間配分に現れない差

時間単位でまとめても見えてこない「本質的な差異」とは何でしょうか。オフィスワークの場合、仕事をするにしても、家の事をやるにしても、その間に必ず、一定時間の移動が伴います。やはり、「通勤の有無」に起因する様々な違いがあります。実際に経験してみると、具体的には以下のような違いとして現れます。

  • オフィスワークの場合、周囲が一斉に帰るわけでもないので、どうしても「定時帰りは気も引けるし、来週の資料のドラフトまで作っておくか」とか、「明日でも十分に間に合うけど、もう少しだけやっていくか。」というような思考に陥りがちで結果として残業が増えがちです。
  • テレワークでは、コーヒーブレイクのタイミングで、短時間の家事をすることも出来ます。例えば、洗濯物を干すとか、米を研いで炊飯器のスイッチを入れる等です。
  • テレワークの場合、家族の緊急の用事(子供が学校で怪我をした等)に対して、素早く対応できます。さらに学校や地域の行事等にも、参加しやすくなります。それらのイベントに参加後でも、仕事に復帰可能です。

このような違いは、「仕事」と「家の時間」の間に「移動」が伴わないことによる差異です。テレワークの方が、その時の優先度や重要度によって、柔軟に時間を使うことが出来ると言えるでしょう。

時間を柔軟に使えるからこそ注意が必要

一方で、柔軟であるがために、以下の点に注意が必要です。

  • 仕事時間と家の時間の境界があいまいになりやすい。
  • 早朝や深夜に作業をすることも出来るため、生活のリズムが乱れやすい。

さらに、移動時間がないことで、以下のデメリットを感じます。

  • 読書の時間が減る。
  • 運動不足になる。

オフィスワークでは、定まった時間に通勤することで、生活のリズムが出来るようです。そして、運動というほど多くはありませんが歩く時間もあります。しかし、テレワークでは、時間の使い方の裁量の幅が広いため、油断すると運動不足にもなりますし、リズムも乱れやすいと感じます。
テレワークでは、自分の裁量に任されている部分が大きくなるため、仕事についても、生活についても、サボらず、丁寧にやる必要があります。仕事をしっかりやっていても、生活が乱れてしまえば、結局仕事にも影響が出てきます。逆も同様です。テレワークでの仕事をすれば、簡単に「ワーク・ライフ・バランス」が保たれるというわけではありません。自分が置かれた状況や、やりたいこと、未来像などを冷静に分析し、状況を把握した上で、積極的に最適な働き方を求めていくことが大事です。
(ま)

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