今日から始めるクラウド型ワークフローGluegent Flow(マスタデータ定義)

Gluegent FlowはGoogle Workspace(旧G Suite)やMicrosoft 365(旧Office 365)と連携できるクラウド型ワークフローです。
本記事では前回の記事に続いて、Google Workspaceをご利用している中小規模の情報システム担当者の方を対象に、
Gluegent Flowを利用するにあたって必要となる導入・準備作業について、ワークフローで利用するマスタデータ参照機能の設定をGoogle スプレッドシートを利用し、どのように行っていくか、ご説明していきます。

Gluegent Flow導入時の準備作業

Gluegent Flowをご利用いただく際に必要となる導入時の作業内容は以下の通りです。
  1. Gluegent FlowをGoogle Workspace にインストールする
  2. 組織階層をGoogleグループで定義する
  3. 初期設定を行う
  4. ワークフローをグルーピングするための「カテゴリ」を定義する
  5. 番号の採番ルール「シーケンス」を定義する
  6. 承認時の上長を自動判別するための「ロール」を定義する
  7. マスタデータをGoogleスプレッドシートに定義する
本記事では、上記No.7の設定内容についてご説明します。

No.1〜6の内容に関しては前回までの記事をご覧ください

<前回までの記事>


マスタデータをワークフロー毎に設定した場合の課題と対処策

ワークフローが参照するマスタデータとは、申請時のフォームに配置する単一チェックやリストの参照元データのことを指します。マスタデータの例としては、業務に関する区分・種類や、自社が取り扱う商品、そして取引先情報などが挙げられます。
このようなマスタデータをワークフローで扱いたい場合、そのワークフローのモデルに必要なデータを設定する必要があります。
ここで、複数のモデルにマスタデータを設定した場合のメンテナンスとして、商品マスタに新商品が追加になったケースを考えてみましょう。通常、追加された新商品のレコードは設定済のモデル数だけ追加作業が発生します。また、人手で変更することになるため、確認作業も当然必要となります。修正対象のモデルが2~3個ならまだしも、10個以上になってくると修正作業の労力もかなり大変です。
もし、この商品マスタデータ定義がモデルの外部で定義でき、一括編集できるとメンテナンス作業も1回で済み、作業労力も大幅に低下させることが可能となるでしょう。これを実現するのが、Googleスプレッドシートを利用したマスタデータ定義なのです。
スプレッドシートにマスタ定義することで、データ変更対象はそのスプレッドシートに限定させることができます。また、そのシートをモデル側から参照させるようにすることで、データ変更が発生してもモデルの修正は必要ありません。
更に、通常であればマスタデータ等は基幹システムで管理しており、そのシステムで追加・変更等の作業を行った後、ワークフロー側でも利用したいこともあるかと思います。この場合、変更があった商品マスタデータを自動でスプレッドシートに反映できるような仕組みを用意しておけば、人手を介することなく、ワークフローにて自動参照ができるようになります。
※弊社では他システム上のデータをGluegent Flowで利用可能とするため、CSV・スプレッドシート同期ツールを有償オプションとしてご提供しております。ご興味のある方はお問い合わせください。

マスタデータをGoogleスプレッドシートに定義し、モデルから参照する方法

それでは、Gluegent Flowでマスタデータをスプレッドシートに定義していく方法について説明していきましょう。
マスタデータとしてスプレッドシート参照が可能なフォーム項目は以下の通りです。
  • リスト
  • テキストとリスト
  • 単一チェック
  • 複数チェック
  • 親子リスト(★)
  • 親子テキスト(★)
  • 親子リスト(他項目連携)(★)
    (★):ヘッダー行が必要となるフォーム項目
親子リスト系の項目は選択肢の依存関係が定義できるものです。例えば、都道府県を定義した場合、関東地方を選ぶと、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県が絞り込まれて表示できるようなものです。

それでは、以下からスプレッドシートへのデータ定義方法について説明していきます。
まずリストや単一チェックといった親子リスト系以外のフォーム項目が参照するデータの場合、以下のようにスプレッドシートへデータのみ定義します。ヘッダー行は必要ありません。


一方、親子リスト系のフォーム項目は、ヘッダー行とデータの両方を定義します。

スプレッドシートの準備ができたら、モデルから参照できるように設定してみましょう。
管理者権限を持つユーザでGluegent Flowアクセス後、右上のギアマークメニュー>設定を選択します。管理画面が表示されたら、モデル一覧>新規作成ボタンを押します。
モデル編集画面が表示されたら、「入力フォーム」を選択後、新規フォーム項目を追加し、以下の設定を行います。
  1. タイプを選択し(①)、フォーム名を入力します(②)
  2. 選択肢設定で「スプレッドシートを定義」を選択(③)、未設定リンクをクリックし、参照先となるスプレッドシートを指定します(④)。


編集途中、プレビューボタンを押すことでどのように表示されるか確認できます。
以下にスプレッドシートが参照可能なフォーム項目の初期表示および選択時のイメージを掲載しています。まず、初期表示時は以下のようになります。
各リスト選択後、以下のような表示となります。親子リスト系の場合、種類>商品名の依存関係に従って絞り込み表示されていることが確認できると思います。
※上記例では親子リスト系のヘッダー行タイトルが表示されていますが、テンプレートのプレースホルダー表記を${親子リスト.1}のようにすれば表示させないことも可能です。詳しくはマニュアルをご確認ください。

上記のようなモデルの設定をしておけば、分類や商品が追加となった場合、スプレッドシート編集のみでモデルを再編集することなく、対応可能です。
なお、追加・変更されたマスタデータは新規申請分から反映されます。承認途中のものは、申請時点のマスタデータが表示するため、変更分は反映されません。


以上、Gluegent Flowのスプレッドシートによるマスタデータ定義を中心にご紹介しました。マスタデータをスプレッドシートに定義することでデータ管理の一元化およびメンテナンス作業の効率化が実現できることがお分かりいただけたと思います。
さて、全4回を通じてGluegent Flowの初期導入時に必要となる設定作業をご説明しましたがいかがでしたでしょうか。本記事に関してご不明な点がございましたら、お問い合わせフォームからお問い合わせください。